CILふちゅう

自立生活プログラム公開講座~障害当事者によるトークセッション~

自立生活プログラム公開講座~障害当事者によるトークセッション~

日時:2015年5月9日(土)13:30~16:30
場所:府中市立ふれあい会館5F第4会議室

2015年5月9日(土)自立生活プログラム公開セミナーが、ふれあい会館にて盛大に行われました。 当初は、4、5名の申し込みで開催が危ぶまれるなど冷や冷やしていましたが、当日は申し込まれた18名以外に2名の飛び込みもあり、 当会の久しぶりのイベントとしては、多くの皆さんに参加して頂くことができました。

最初に鈴木代表の講演がありました。講演では1970年代の自立の考え方に触れ、会場の参加者に「自立」について尋ねると、 この当時の考え方と共通している様子でした。この考えを打ち破ったのが自立生活運動の父と呼ばれるエド・ロバーツで、 彼が提唱した考え方は革新的で、すべての障害者が自立できる可能性があるというのです。 この考え方に至った一つにアメリカという国の考え方があります。例えば、歩道に破損している場所があり移動中に怪我をしたとします。 おそらく日本では泣き寝入りするか、行政に抗議するくらいしかしないと思いますが、アメリカでは即訴訟が起きてしかも勝てるのだそうです。 この事からも分かるようにアメリカでは全ての人には権利がある。権利があるということは行使できるのです。 しかし権利を行使するためには自分に責任が伴います。これが主体的に生きる自立した人であるという事なのです。

近年、若い障害者のみならず健常者であってもニートや引きこもりなど自立できるとは限らない状況になっています。 また医療の進歩等により寿命が延び、どんな人であれ将来障害を持つ可能性があります。この様に障害者や将来障害を持つ可能性がある人たちに、 この「自立生活」という考え方を普及させる活動が自立生活運動で、その人たちを応援していくのが自立生活センター(CIL)です。
この様に鈴木代表からは、「自立生活」という革新的な考え方・生き方について強調して話され、 前座として参加者の皆さんにとても良い気づきを与えることになったのではないでしょうか。

後半のトークセッションでは、パネリストとして、佐久間桃子さん(頚椎損傷)、石川守さん(脳性マヒ)、CILふちゅうスタッフの岡本千春(筋ジストロフィー)の 三人の当事者が登壇し、それぞれの自立生活について語り合いました。三人三様の人生の節目、ターニングポイントがあり、 「こんな生き方があるんだ」「自立生活って自分にもできるかな」などと思ってもらえた内容だったのではないでしょうか?

印象に残った話をいくつかピックアップします。
まず岡本からは、家族の関係性について触れました。将来を考えて早くから自立をしたが、障害が進行して実家に戻るか施設に入るかの究極の選択を迫られたときに、 CILの存在を知って東京で新たに自立生活をスタートさせたそうです。東京を選んだ理由として、「親となるべく離れたほうがよいと思った」という理由に、 参加されていた障害当事者の親御さんからは驚きの声もありましたが、当事者の方からは共感の声が上がりました。

佐久間さんからは、障害受傷後リハビリを受けていた際に自分よりも重たい頚損の男性が自立するという話を聞き、 その当時「そんなことができるのかな」と半信半疑だった様でした。好機に恵まれ、デンマーク留学の体験や出会いにより、 単身福島から東京の大学に進学し自立をスタートしたそうです。学内介助の資源の活用と関係作りについて触れ、 友達に介助してもらうことが負担になっているのではと考えていたようですが、友達と話してみると「そんな負担になっていると思う?」という返事が返ってきて、 実は思っているほど負担でないことを知ったそうです。友達から強い協力を得て、今ではキャンパスライフをエンジョイしている様です。

石川さんからは、施設にいた33年間を振り返り、必要な介助が得られず、特に食事はお皿を口につけ、まるで犬のように食べることがとにかく嫌だったそうです。 そんな中CIL所沢の代表と出会い「石川さん自立しないかい?」という声かけに一念発起、自立を目指しました。 親の説得は難航した様ですが、自立への思いにより自立生活がスタートしました。まさに自分の人生を自分で決める。 そんな思いを強く感じました。今はカラオケや映画など趣味の幅が広がり、鈴木さんのボケ?により、 大人なお店に行っていることを暴露させられるといった一幕があり、今日一番の笑いを持っていきました。

質疑応答では、「精神障害者や発達障害者の自立について」や「必要な時にだけ介助を使いたいが、どうしたら良いか」といった個別的な相談や、 指文字で岡本の話に共感し、そして自立生活プログラムの受講を希望といった声など、活発な意見交換となりました。

最後に私から、今後のやりたいことについて聞きました。所沢の自立生活者を増やしたいという石川さん。 自身が関わる呼ネットの活動を紹介し、普及活動を頑張りたいという岡本さん。宮崎駿のファンで、 彼の出待ちしたいといったおちゃめな一面が垣間見られた佐久間さんと個性溢れるスターターイベントとなったのではないでしょうか。

自立生活センター CILふちゅう

〒183-0055
東京都府中市府中町2-20-13
丸善マンション1階
042-314-2735
042-314-2736
office2735@cilfuchu.com